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【オンラインでカウンセリングを受けたいあなたへ】悩みの原因「7つの認知の歪み」をわかりやすく解説
- カウンセリングで実際何をするのか知りたい!
- なんで自分が悩むのか…その起源が知りたい…
- 認知行動療法って本当に良いのかな…?
私たちは多かれ少なかれ、毎日の生活のなかで悩みや苦しみを抱えています。認知行動療法では、そうした悩みや苦しみは、「認知の歪み」によって生じると考えます。この記事では「認知の歪み」とは一体何か、わかりやすく解説していきます。記事を読むことで「悩み」の原因を知るとともに、カウンセリングの流派のひとつである認知行動療法についても知ることができます!
-ライター自己紹介-
Writer:K.Suzuki
資格:臨床心理士・公認心理師
キャリア:心理職(教育領域・保健領域)
教員(大学・大学院)
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認知行動療法と認知の歪み
認知行動療法ってなに?
認知行動療法は、現在、日本で最も有名な心理療法のひとつです。
認知行動療法では、苦しまずに今を元気に過ごすことできる「健康的な考え方や物事の捉え方(認知)」ができるようになることを目指します。
そのために、具体的で、科学的根拠のある様々な手段がとられるのも大きな特徴です。対話を基盤とする他の心理療法とは違い、あらゆる手段でクライエントの問題解決を図ります。
例えば、必要に応じてカウンセリングとカウンセリングの間で課題を実施したり、カウンセリングのセッションで議題やテーマを設定したりもします。
認知の歪みとは何か
認知の歪みとは、私たちが苦しくなってしまう考え方や、物事の捉え方です。現実を正確に捉えることができずに、歪んで解釈してしまうことで生じます。
認知行動療法では、私たちの苦しみは「認知の歪み」によって引き起こされると考えます。
例えば、上司に指摘されたことを「叱られた」「悪い評価を受けた」と考えてしまうことで、落ち込んだり、仕事ができなくなってしまうようなとき、認知の歪みが悪さをしています。
上司に指摘されたということは、必ずしも悪いことではありません。「今より良いやり方を教えてもらった」「上司が熱心に指導してくれた」と捉えることもできるはずなんです。
何かしらの出来事に遭遇したとき、人がどのように反応するかは「認知」の仕方で大きく変わります。認知行動療法では、私たちが苦しくなってしまうような認知を「認知の歪み」と呼んでいるのです。
>>認知行動療法の全体像を知りたい方はこちらをご覧ください。
7つの認知の歪み
認知の歪みはいくつかのパターンで説明することができる
「認知の歪み」には、いくつかの傾向をみることができます。この記事では、以下の7つの代表的なパターンを紹介します。
- 恣意的な推論
- 選択的抽象化
- 迷信的思考
- 過度の一般化
- 個人化
- 選択的で二者択一的な思考
ひとつずつ紹介していきます!
恣意的な推論
恣意的な推論とは、出来事を客観的に判断せずに自分の思うままの推論を行なってしまう傾向のことです。
例えば、恋人が少し元気のない様子のときに「別れを切り出される!」と考えて不安にかられてしまうようなときです。
恋人が「元気がない」ことには理由がありますが、別れを考えているからだとは限りません。仕事で大変の時期かもしれませんし、家族との間でトラブルがあったのかもしれません。恣意的な推論は、たいてい自分が苦しくなる方向で行ってしまいまうものです。本当はそんなことないのに、どんどん心が苦しくなってしまいます。
選択的抽象化
選択的抽象化とは、出来事の様々な側面に目がいかず、ネガティブな一点にのみ注目して全体を捉えてしまう傾向です。
例えば、SNSの投稿をしたとき、ほとんどの人が肯定的なコメントをしてくれているなかでひとつだけ否定的なコメントがあったとします。その否定的なコメントだけしか見えなくなってしまい、自己肯定感が下がってしまうようなときです。
自分に対して否定的であったり、ネガティブなものしか見えない毎日は、とても苦しいものです。
迷信的思考
迷信的思考は、実際はなにも関係のない事柄に対して、因果関係を信じてしまう傾向です。
例えば、黒猫が横切ったのを見て「今日は悪いことがある」と捉えてしまったり、ペンを落としてしまったことで「自分は大変な罪を犯してしまった」と考えてしまうようなときです。
多くの場合、ありふれた出来事を原因として、「破滅的な未来」が結果として生じることを想像してしまいます。迷信的な思考は誰もが多かれ少なかれ持っているものですが、極端になってしまうととても強い苦しみが伴います。
過度の一般化
過度の一般化は、些細な出来事を過度に一般化してしまう傾向です。一般化とは、ある事柄を普遍的なものと捉えてしまうことです。
例えば、一度仕事でミスをしてしまっただけなのに、「自分は何をやってもダメだ…」と思い込んでしまうようなときに過度の一般化が起こっています。
実際は、一度ミスでその人の能力が決まることはありません。過度の一般化は、多くの場合自分にとって悲観的な認知を引き起こしますので、当然、こころは苦しくなります。
すべき思考
すべき思考は、ある事柄に対して「〇〇すべき」と強く考えてしまう傾向です。「すべき思考」が発動すると、本来の必要性を超えて「〇〇すべき」という考えが強くなりすぎてしまいます。
例えば、「仕事は真面目に取り組むべき」「家事は完璧にこなすべき」といった考えです。
「〇〇すべき」という気持ちが強くなりすぎると「ほどほど」ができなくなってしまいます。そうすると、常に前のめりになってしまい、どんどんこころが疲れてしまいます。
個人化
個人化とは、自分に無関係な出来事であるにもかかわらず、その出来事が自分に直接関係していると考えてしまう傾向です。
例えば、友人の機嫌が悪い時、「自分が何かしたからだ」と考えてしまうようなとき、「個人化」が起こっています。
理由はわからないのに、「自分のせい」という強い信念だけがあるような状態です。もちろん、事態の改善などできませんので、こころがどんどん疲弊していきます。
選択的で二者択一的な思考
二者択一的な思考とは「良いか悪いか」「好きか嫌いか」といった、極端な二択しか選択できない傾向です。
例えば、友人や恋人に対して「好き」か「嫌い」の評価しかできないような状態です。
物事を白か黒かで考えてしまい「どちらでもない」や「ここは好きだけどここは嫌い」といったグレーな評価ができません。「昨日まで好きだったけど今日は嫌い」といった激しい評価の揺れが頻繁に生じるので、自分も周囲も疲れてしまいます。
認知の歪みの原因は育ちのなかで育まれる
認知の歪みは、育ちのなかで育まれます。より具体的には、親子関係、社会、文化に影響を受けて育まれると考えられます。
「ついネガティブに考えてしまう」「白か黒かはっきりさせたくなっちゃう」ことが誰にでもあるように、人は多かれ少なかれ認知の歪みを抱えています。その認知の歪みによる苦しみが強くなりすぎたとき、認知行動療法が必要になります。
幼い頃から積み重ねられた経験(親子関係)
認知の歪みの原因のひとつは、幼い頃から積み重ねられた経験です。
特に両親など、身近な大人の影響は大きいです。
例えば、「厳しい両親に何事も完璧にこなすようにしつけられた」「お兄ちゃんだから、お姉ちゃんだから、となんでも頑張ることを強いられた」ような体験は、「すべき思考」の原因になります。
また、日常的に、事実とは関係なく「お前が悪い!」と言われて育ってしまうと「悪いことは自分のせい」と自分を責める癖がついてしまいます。そうした癖は「個人化」の基になります。
社会や文化の影響も大きい
育った社会や文化の影響も、認知の歪みの原因になり得ます。
例えば、学歴を重んじる社会や文化に生きる人は、当然学力至上主義に陥ります。その結果、「良い大学に入るべき」「テストでは良い点数を取るべき」といった「すべき思考」が生じます。
また、迷信や宗教と強く結びついた文化圏で育つと、そうでない文化圏で育つよりも「迷信的思考」と親和性が強い認知が育まれるのは、想像に難くありません。
上記の他にも、こころの不調や病によって一時的に不安が強くなったり、気分のコントロールが難しくなったとき、認知の歪みが生じることがります。
認知の歪みを修正するには
認知行動療法では、まずクライエントのこころの状態を整理するところからはじめる
認知行動療法では、まずはじめに、クライエントの悩みがどのように成り立っているのかを整理します。
具体的には、どのような出来事に対してどのような認知が生じるのか。そして、その認知が感情や身体、行動にどのように影響を及ぼしているのかを整理します。
また、現在その状況に対してどのように対処しているのか、クライエントをサポートしてくれる資源にはどのようなものがあるのかということも確認します。
そうして現状をしっかりと整理したのち、どのような方法が一番クライエントの役に立つのか検討して、実施していきます。
認知行動療法は、科学的根拠のある方法をたくさん準備しているのが特徴です。その方法について説明していきます
日記をつける
認知行動療法では、日記をつける課題が出されることが多いです。
日記といっても、その日何が起こったかを書くのではなく、こころが苦しくなったとき、どんな出来事に遭遇して、どんな認知が生じたのかを記録するのです。
その際、クライエントが困っていること、例えば気分の落ち込みやイライラに点数をつけます。そうして作成した日記をカウンセリングでカウンセラーと共有します。
カウンセリングでは、クライエントとカウンセラーの共同作業で、出来事と認知が適切かを確認したり、不適切な認知が生じているならどうすれば適切な認知に修正できるかを考えたりします。
困難にあえて直面してみる(暴露反応妨害法)
暴露反応妨害法は、不適切な認知や、認知によって引き起こされる気分や感情のざわめきが生じる出来事にあえて直面する方法です。
例えば、「部下に指摘をするとなんて思われるかわからず不安になる。そうして指摘をした後はついつい甘い言葉をかけてしまう」というクライエントがいたとします。
そんなクライエントに、課題として部下に指摘する機会を作ること。そして、指摘した後甘い言葉をかけずに、そのままにすることを提示します。
クライエントはその課題を実践して、気分や感情がどのように変化したか記録をします。その記録をもとに、カウンセリングで話し合いを行います。
認知の歪みの心理教育
クライエントに対して心理学の知識を伝えることを心理教育といいます。
認知行動療法の心理教育では、「認知の歪みにはどのようなものがあるのか、どのような起源で、どのようにクライエントを困らせているのか」といった内容を扱います。そして、知識を身につけた状態で、これからどうすれば認知の歪みを修正していけるのか、クライエントとカウンセラーが一緒に考えていきます。
認知行動療法は、クライエントとカウンセラーが共同作業で認知の歪みを扱います
認知行動療法は、認知の歪みに焦点を当て、クライエントとカウンセラーの共同作業で今より元気に過ごせる認知を獲得することを目指す心理療法です。
認知の歪みは、育ちだけではなく、文化や社会の影響も強く受けて生じます。
そのため、大変根強く、ひとりの力でどうにかでするのは困難です。
認知行動療法では、クライエントの認知の歪みにアプローチする様々な方法が準備されています。
科学的根拠のある技法を用いて、主体的に問題解決に取り組みたい人に向いている心理療法とも言えるでしょう。
もちろん、カウンセラーは共に問題解決を目指すパートナーになります。
>>他の心理療法について知りたい方はこちらをご覧ください。
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