【カウンセリングで何をする!?】精神分析の考え方と3つの理論をわかりやすく解説!

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  • カウンセリングでこころが元気になるメカニズムが知りたい!
  • カウンセラーが専門にしている心理学がどんなものか知りたい!
  • カウンセリングをしているとき、カウンセラーが何を考えているか知りたい!

ひとりで悩むのはもう限界…こころの事だから、カウンセラーに頼れば良いのかな?でも、カウンセラーって何してくれるの?

よくわからなくて、正直怖い!!

カウンセリングという言葉を知らない人はいないでしょう。でも、カウンセラーがカウンセリングで何をしているかは、知らない人の方が多いです。カウンセラーは、こころを元気にするための心理学を学び、実践しています。この記事では、カウンセリングの流派のなかでも最も歴史のある「精神分析」を取り上げて、カウンセリングで何をするのか、詳しく解説します。記事を読むことで、カウンセリングについてイメージできるようになります!

-ライター自己紹介-

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Writer:K.Suzuki
資格:臨床心理士・公認心理師
キャリア:心理職(教育領域・保健領域)
教員(大学・大学院)

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  • この記事は、オンラインカウンセリングを実施しているオフィスのカウンセラーが執筆しています。
  • ライターは臨床心理士・公認心理師ダブルライセンスのこころの専門家です。
  • オンラインカウンセリングの利用を検討している人に役立つ情報を発信しています!

この記事は、オンラインカウンセリングを専門とする機関が運営しています。詳細はこちらをご覧ください。

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目次

精神分析は一番歴史のあるカウンセリングの流派

精神分析について

精神分析は、20世紀のはじめにジークムント・フロイトによって創始された、「カウンセリングの始祖」といえる流派です。現在、カウンセリングには様々な流派がありますが、そのほぼ全てが、精神分析の影響を強く受けています

100年以上の歴史がある精神分析は、フロイトの弟子達によって丹念に育て上げられてきました。今では、精神分析の一派のなかにも様々な立場があります。

その全てを記事としてまとめるは範囲が広すぎますので、この記事では、精神分析のカウンセリングについて、心理学の教科書にのっているような、基本的な部分をわかりやすく解説することにします。

>>精神分析以外のカウンセリングについて知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

精神分析カウンセリングとは

精神分析の源流は、カウチと呼ばれる寝椅子にクライエントが横になって行います。今はそうした古典的なやり方をする人は少なく、対面で行うのが一般的です。対面で行う精神分析を「精神分析的カウンセリング」と言います。

精神分析的カウンセリング

精神分析ではこころの問題は「無意識」にあると考える

私たちは日常生活のなかで、様々な出来事に遭遇します。そして、様々な感情を抱きます。そんな出来事の記憶と感情のなかには、強烈な痛みや苦しみを伴い、とても頭のなかに置いてはおけないものもあります。

こころのメカニズム

強烈な痛みや苦痛を伴う記憶や感情に遭遇したとき、私たちは、こころのバランスをとるために、記憶や感情を無意識のなかに仕舞い込みます。無意識に仕舞い込まれた記憶や感情は、頭のなかから取り除かれます。そうすると、一時的に苦痛から解放されます。

しかし、無意識に仕舞い込んだからといって、記憶や感情は消滅するわけではありません。無意識のなかで生き続け、ときには固着し、ときには膨張し、無意識のなかからあなたに働きかけます。

こうした無意識の働きかけによって、例えば次のような困りごとが生じます。

  • 人が信じられない
  • 感情がコントロールできない
  • 大事なことに向かい合えない
  • 大切なものを大切にできない
  • 人間関係を継続できない
  • 人が怖くて怖くて仕方がない

私たちを悩ませる、こころの問題です。

精神分析のカウンセリングでは、無意識に押し込めた記憶や感情を探索する

探索作業はクライエントとカウンセラーの共同作業

無意識について

精神分析的カウンセリングでは、無意識に閉じ込められた記憶や感情を探索することからはじまります。その探索作業は、クライエントとカウンセラーの共同作業です。無意識は広大な倉庫のようなものです。一度無意識に仕舞い込まれた記憶や感情は、クライエント自身も無意識内のどこにあるかわからないのです。

クライエントは、カウンセラーとの対話を通じて、無意識のなかを探し回るのです。

一人じゃなければ...

そうして発見した記憶や感情について、カウンセラーと一緒に話し合います。かつて、一人で抱えるのが困難だった記憶や感情でも、カウンセラーが隣にいれば、つまり、ひとりじゃなれければ、抱えられるものです。

クライエントは、カウンセラーと共に記憶や感情の意味を再確認して、自分の人生に統合していきます。

【事例】好きな人をいじめたくなるのは無意識のせい!? 

精神分析についてより理解してもらえるように、例を出して説明します。

ある特定の女の子をいじめてしまうことで困っている男の子がカウンセイングに訪れました。「好きな人をいじめてしまう」のは、特に小学生頃の男子によく見られる行動です。

実は、この男の子はその女の子に恋心を抱いています。つまり「好き」なのです。ですが、男の子は自分の気持ちを意識することはできていません。

好きな気持ちを抱えるのは大変

「好き」な気持ちを抱えるのは、実はとっても大変です。「ドキドキ」しますし、「恥ずかしい」と感じるかもしれません。好きな人が他の男の子と話をしていると「ヤキモチ」を焼いてしまうこともあるし、その子がこっちを向いてくれないことに「苛立ち」を覚える日もあるでしょう。

このような気持ちを抱えるのは、まだ成長途中の子どものこころでは荷が重いのです。

無意識に格納しちゃう

男の子は、こころはバランスを保つために、この「好き」という気持ちを無意識に閉じ込めてしまいました。

おかげで「好き」な気持ちを意識することはなくなりましたが、そのかわり、困った行動が出てきたのです。ついついその女の子に対して「ちょっかい」を出したり、「意地悪」してしまいます。本来、人は好きな人に「優しくしたい」ですし、「大切に扱いたい」はずです。でも、正反対の行動をとってしまうのです。

無意識からモンスター

こうした、本来の自分の気持ちと反対の行動をとってしまうことを「反動形成」といいます。無意識に閉じ込められた気持ちが、今のままでは表現されないことを悟って、形をかえて表に出てきている状態です。

カウンセリング

カウンセリングで、カウンセラーは男の子の話をじっくり聞きました。いつから女の子をいじめてしまうようになったのか。どんなときにいじめてしまうのか。いじめた後、どんな気持ちになるのか。そして、カウンセラーは話を聞いて気づいたこと、感じたことを丁寧に伝えていきました。

気づき

そうした話が繰り返されていくなかで、ある恋愛アニメのツンデレ男子ことが話題になりました。好きだけど素直になれない。つい強がって「意地悪」したり「ちょっかい」を出してしまう。男の子は気がつきます。「自分と一緒だ…」

気づいてくれた

男の子は、無意識に閉じ込めた「好き」という気持ちと再び出会うことができました。とっても強烈な「好き」という気持ち…でも、今度は一人ではありません。

ひとりじゃない

ひとりでは抱えられない気持ちも、誰かと一緒なら抱えられることがあります。その誰かになるのが、カウンセラーです。

プロローグ

「好き」という気持ちを抱えることができるようになった男の子は、カウンセリングを終えました。後日、女の子をいじめてしまうような困った行動がおさまったこと、かつていじめてしまっていた女の子に優しくきるようになって、今では仲良く生活できていることが先生から報告されました。

精神分析的カウンセリングはどうやって展開するのか

精神分析的カウンセリングについて

先に挙げた例のように、精神分析では、対話を通じてクライエントの無意識を探索し、閉じ込められている記憶や感情を見つけます。

無意識を探索する自由連想という考え方

自由連想

対話といっても、ただ闇雲に話を続けるわけではありません。精神分析には、「自由連想」という考え方があります。精神分析のカウンセリングでは、クライエントは頭に思いついたことを自由に語るように言われます。話の脈絡などは気にしなくて構いません。

すると、当然カウンセリングのなかでいくつかの話が展開されることになるわけですが、これらの話はただバラバラに存在するのではなく、繋がっています。そして、その繋がりの先に無意識があり、クライエントが閉じ込めた記憶や感情に続く道になると考えるのです。

無意識に閉じ込めた記憶や感情をみつめて、頭のなかに置いておけるようにする

無意識のなかに閉じ込めた記憶や感情を見つけても、クライエントひとりだと、その記憶や感情の強さに押し負けてしまい、再び無意識に仕舞い込むことになってしまいます。

しかし、カウンセリングでは、カウンセラーというパートナーがいます。ひとりでは抱えられない記憶や感情も、カウンセラーとなら抱えられます。

一人じゃない

例えば、ひとりで「好き」という感情が抱えられなかった男の子が、「カウンセラーも小学生の頃同じような経験をしていたことを知って安心した」「「好き」という気持ちの尊さや暖かさについてカウンセラーと語り合うことで、自分が抱く「好き」という気持ちの存在を認められるようになった」ようなときです。

こうして存在を肯定してもらえた記憶や感情は、もう悪さをすることはありません。

無意識に閉じ込めた記憶や感情を発見し、カウンセラーと語り合い、自分の人生と統合し、こころの主権を回復する。それが精神分析です。

精神分析の理論3つのポイント

理論について

精神分析は、人のこころを理解するためにいくつかの理論を持っています。代表的なものを簡単に紹介します。

【ポイント①】意識・前意識・無意識

局所論

フロイトは、私たちのこころは「意識」「前意識」「無意識」の三層構造でできていると考えました。

意識

意識は、今、自分の頭の中で認識できている記憶や感情のことを言います。頭のなかにあるわけですから、自由に記憶を反芻したり、感情を味わったりできます。

前意識

前意識は、意識しようとすればできる記憶や感情です。意識の外という意味では無意識と一緒ですが、自由に頭の中(意識のうえ)に持ってこれるという点で、無意識とは異なります。

「ゲームがしたい」「マンガが読みたい」といった欲求や「昨日の野球の試合は凄かった」といった記憶や感動は、常に意識されているわけではありませんが、考えようと思えば考えられるし、思いだそうと思えばいつでも思い出せます。

こうした出し入れ自由な記憶や感情を置いてあるのが前意識です。

無意識

無意識は、頭の中(意識のうえ)に置いておけない記憶や感情を格納する場所です。無意識に格納されると、頭のなかから排除されるので、記憶や感情がそのままの姿であなたを苦しめることはありません。

しかし、無意識に閉じ込められた記憶や感情は消滅するわけではないので、なんらかのかたちであなたに不具合を生じさせます。

「好きな気持ちがうまく表現できないから意地悪してしまう」ようなときです。これが、「心の問題で悩んでいる」状態です。

【ポイント②】自我・超自我・イド

局所論

フロイトは、私たちのこころには「イド」「超自我」「自我」という 3つの機能が備わっていると提唱しました。

イド

イドは、私たちに本来備わっている、本能的な欲求です。「食欲」「性欲」「睡眠欲」の三代欲求が一番わかりやすい例です。その他にも、私たちが感じる「怒り」や「悲しみ」「孤独感」のような感情に伴う「攻撃の欲求」「人を求める欲求」もイドに含まれます。イドは、私たちを本能的な欲求充足のために動かそうとします。

超自我

超自我は、イドとは逆に、社会や集団のなかでいきていくために必要なルールや規制にしたがって私たちを動かそうとするこころの機能です。例えば、「お腹が空いていても電車のなかでご飯を食べてはいけない」「眠いけど、朝は定時までに職場にいかなくてはならない」といった自分を律する考えです。

自我

自我は、「イド」と「超自我」そして「状況」の折り合いをつけて、最終的な行動を決定するこころの機能です。

すごくお腹が空いているけれど、電車のなかだからお弁当は食べないようにしよう。でも、カバンに入っているグミくらいなら、誰にも迷惑をかけないから食べても大丈夫。よし、グミを食べよう!

といった具合です。

自我・超自我・イドの関係

自我の裁量は人によって基準が違います。うまくバランスを取れる人もいれば、欲望に忠実な決定を下しがちな人もいます。一方で、超自我に忠実になりすぎて、我慢ばかりしてしまう人もいます。

超自我が強すぎるとき

自我が超自我に寄りすぎると、イドから生じた欲求が軽視されたり無視されたり、押さえつけられたりしてしまいます。すると、それらの欲求は無意識に格納され、あなたを苦しめる原因になってしまいます。

【ポイント③】防衛規制

防衛規制

防衛機制は、こころが壊れないようにバランスをとろうとする働きです。

無意識に押し込んだ記憶や感情をそのままにしておくと、膿んだり、膨張したり、時間をかけてあなたを苦しめる原因として育っていきます。

そんな無意識に押し込まれた記憶や感情をなんとか解放しようとするのが防衛機制です。

この記事では、わかりやすい防衛規制を 2つだけ取り上げて説明します。

反動形成

反動形成は、本来その人が感じている欲求や衝動と真逆の行動をとらせようというこころの働きです。

先の事例でいう「好きな子をいじめる」のが一番わかりやすい例です。好きという気持ちをそのまま発散させられないから、発散させやすい「いじめる」という行為に人を走らせるのです。

補償

補償は、満たされなかった欲求を、別の代償行動によって満たそうというこころの働きです。

例えば、運動が苦手な子どもが、悔しさをバネに勉強を頑張るような場合がそうです。補償の方向性によっては、非行や反社会的な行為に至ってしまうこともあります。

精神分析のより詳しい理論についてはこちらから

>>防衛規制についての詳細はこちらをご覧ください。

精神分析は時間をかけて自分のこころを見つめるカウンセリングの源流

クライエントのこころと向かいあうことの重要性に最初に気がついたのはフロイトです。その意味でも、精神分析は、カウンセリングの流派の源流といえるでしょう。現代に存在するどの流派も、程度の差はありますが、精神分析の影響を受けています。

精神分析は、クライエントの無意識をじっくりと探索するという構造上、どうしても時間がかかってしまいます。じっくりこころを見つめることができるというメリットもありますが、時間とコストがかかってしまうというデメリットもあります。

精神分析的カウンセリングを希望する方は、あらかじめメリットでデメリットをよく吟味しておくと良いでしょう。

オンラインカウンセリングを利用したい方へ

この記事を管理している藤カウンセリングオフィスは、臨床心理士・公認心理師によるオンラインカウンセリングを提供しています。ご予約はこちらのページをご利用ください。

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参考

日本精神分析協会HP

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