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【心理カウンセリングって何をするの!?】来談者中心療法の理論と3つの態度をわかりやすく解説!
- 一人じゃ限界…カウンセラーに頼ってみようかな…でも、カウンセラーって何をしてくれるの?
- カウンセラーが専門にしている心理学がどんなものか知りたいな。
- カウンセラーがどんなことを考えているのか知りたい!
ひとりで抱えきれないものがある。頼れるのなら、カウンセラーに頼りたい…でもカウンセラーって何してくれるの?
利用する前に、カウンセリングについてちゃんと知りたい!!
臨床心理士や公認心理師が行う心理カウンセリングは、臨床心理学を基盤とした、専門的な心理学的支援です。カウンセリングには様々な流派がありますが、この記事では、そのなかでも特に有名な「来談者中心療法」に焦点を当てて詳しく解説します。記事を読むことで、心理カウンセリングとはなにか、しっかりイメージできるようになります!
-ライター自己紹介-
Writer:K.Suzuki
資格:臨床心理士・公認心理師
キャリア:心理職(教育領域・保健領域)
教員(大学・大学院)
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- この記事は、オンラインカウンセリングを実施しているオフィスのカウンセラーが執筆しています。
- ライターは臨床心理士・公認心理師ダブルライセンスのこころの専門家です。
- オンラインカウンセリングの利用を検討している人に役立つ情報を発信しています!
当オフィスは臨床心理士/公認心理師によるオンラインカウンセリングを実施しています。オフィスの詳細やカウンセリングのご予約はこちらのページをご覧ください。
来談者中心療法とは
来談者中心療法は80年以上の歴史がある、日本で一番有名なカウンセリングの流派
来談者中心療法は、カール・ロジャースによって1940年代に創始された、80年以上の歴史があるカウンセリングの流派です。日本には、1940年代から1950年代にかけて当時の識者達によって積極的に輸入されました。
来談者中心療法は、数多の理論が複雑に絡み合って構築されている他の流派とは違います。後述する 「6つの必要十分条件」に沿って展開されるわかりやすさに加え、「非指示的」という喉越しの良い謳い文句が好まれ、専門家・非専門家問わず多くの人に学ばれています。
そんな経緯もあり、来談者中心療法は現代の最もメジャーなカウンセリングの流派といっても過言ではありません。
しかし、その一方で多くの誤解を受けている流派でもあります。
一方で、来談者中心療法のカウンセラーは「6つの必要十分条件だけ知っていれば良いんでしょ?」「カウンセラーって話を聞くだけの人なんでしょ?」と軽視されたり、「非指示的なんだから、カウンセラーは話を聞くだけなんでしょ?」という誤解を受けることも多いです。
ですが、実はそんなことはなく、来談者中心療法によるカウンセリングの実践は、長期間の訓練がなければ習得できない、れっきとした心理的支援の専門行為です。
>>来談者中心療法以外の心理療法について知りたい方はこちらをご覧ください。
来談者中心療法のカウンセリングについて詳しく知る
来談者中心療法は、人は自分で元気になる力を持っていると考える。
来談者中心療法は「人は自分で元気になる力を持っている」という確固たる信念を持っています。
来談者中心療法では、クライエントの悩みを「経験と自己概念の不一致」という視点から捉えます。「経験」は、今まさにその人が経験していることです。「自己概念」は、その人が今認識していることです。そして不一致とは、今自分が経験していることをその通りに認識できていないということで、例えば「悲しいときに悲しいと感じられない」ような状態です。
来談者中心療法では、クライエントの苦しみの根本に、経験と自己概念の不一致を想定しています。そして、クライエントには不一致の状態から一致へと進む力が備わっていると考えます。一致しているとは、「悲しい時に悲しいと感じれる」「つらい時につらいと言える」そんな状態のことです。
この「不一致の状態から一致へと進む力」が「自分で元気になる力」です。
カウンセラーの仕事は一致へと向かうクライエントに寄り添い支えること
クライエントは、経験と自己概念の不一致に由来する苦しみをひとりではどうすることもできなくなり、カウンセリングに訪れます。
来談者中心療法のカウンセラーは、そんなクライエントに寄り添い、支え、人が本来持っている一致へと向かう力が発揮できるようにサポートいます。
来談者中心療法のカウンセラーは「受容」「共感」「自己一致」でクライエントに寄り添う
「クライエントに寄り添い支える」方法として、来談者中心療法では、カウンセラーの基本的態度を示しています。基本的態度とは、「受容」「共感」「自己一致」です。
次の章で詳しく説明します。
クライエントが「元気になる力」を発揮するのに必要なこと
カウンセラーの態度
来談者中心療法では、クライエントが「元気になる力」を発揮するには「6つの必要十分条件」があれば充分であるとされています。そして、「6つの必要充分条件」のなかには、カウンセラーが備えるべき態度として「受容」「共感」「自己一致」が挙げられています。
受容
受容とは、カウンセラーが、カウンセリングのなかでクライエントが語ることを評価や批判することなく、無条件で受け入れることです。
カウンセリングでは、例えばギャンブルがやめられないなど、一般的に好ましくないとされる事柄がクライエントから語られることがあります。そうした語りに評価や批判をすることなく耳を傾けるのです。
共感
共感とは、カウンセリングにおける対話のなかで、クライエントの感情をカウンセラーが「あたかも」自分のことのように感じることです。
クライエントの話を聞いていると、まるで自分がクライエントと融合してしまったかのように感情が揺さぶられることがあります。そのようなときでも来談者中心療法のカウンセラーは、クライエントの感情に飲み込まれることなく、あくまでカウンセラーはカウンセラーの立場でクライエントの感情を感じるのです。
自己一致
自己一致とは、経験と自己概念が一致していることです。今経験している感情に蓋をすることも、感情を加工することなく、そのまま認識できているかどうかということもできます。
カウンセラーも人間です。当然、カウンセラーにも人としての苦悩があり、完全に一致していません。クライエントと関わる時は、決して完璧ではないけれど、そのカウンセラーなりに一致している。そんな姿をクライエントに見せられるように訓練しています。
カウンセラーは「受容」「共感」「自己一致」を伝えるために積極定にクライエントに関わります
来談者中心療法には、「クライエントは不一致に悩んでいる」という大前提があります。不一致に悩んでいるということは、「今本当は自分が経験していることを、頭で認識できていない」状態です。例えば、恋人との永遠の別れを経験して、こころが悲しみに押しつぶされそうなのに、平然を装ってしまっている状態です。
このとき、ちゃんと悲しみを認識できているけれど、社会生活を維持するために人前で平気なふりをしているのなら、問題ありません。
問題になるのは、悲しみを抱えたこころに自分でも気づいていないときです。平気なふりをしているという意識がありませんから、こころはどんどん負荷を抱えこんでいきます。行き着く先は、日常生活の破綻です。
このように不一致に悩むクライエントが「受容」「共感」「自己一致」という3つの態度を備えたカウンセラーと出会うと次のような体験をします。
- 自分の話を否定することなく受け入れてくれる人と出会う。
- その人は自分の感情に共感してくれて、時には、自分でも気づくことができなかった感情を掬い上げ、伝えてくれる。
- さらに、その人は自分との対話のなかで経験したことを素直に感じとり(自己一致)、言葉を通じて、ときに非言語も交えて伝え返してくれる。
このようなカウンセラーとクライエントの交流のなかで、カウンセラーは決して受け身ではありません。クライエントを受容し、共感と自己一致を伝えるために、積極定にクライエントに関わっています。そうした関わりを通じて、クライエントは、カウンセラーとの関係のなかで徐々に自分の不一致を話題にできるようになります。
自分の不一致を言葉にするのは、一致へと向かう大きな一歩です。言葉にできるだけではまだ知的な理解でしかありませんが、カウンセラーとの間で何度も言葉にすることで、次第に実感が伴うようになります。そうして、徐々に経験を素直に感じることができる「自己一致」の状態に近づいていきます。
6つの必要十分条件ってどんなもの?
ロジャースが提唱した「6つの必要十分条件」を以下に記します。
- クライエントとカウンセラーが心理的接触を持っていること。
- クライエントは不一致の状態に苦しんでいること。
- カウンセラーはクライエントとの関係のなかで自己一致していること。
- カウンセラーは、クライエントに対して受容を経験している。
- カウンセラーは、クライエントを共感的に理解しており、そのことをクライエントに伝えようと努めていること。
- カウンセラーの受容と共感が、少しでもクライエントに伝わっていること。
※初見の方にも伝わりやすいように、原文から少し言葉を変えています。正確な文章を知りたい方は、関連の書籍をご確認ください。
これらの文章を眺めると、カウンセラーの態度に加え、カウンセラーとクライエントの心理的接触(あたたかい関係性を持っていること)と、カウンセラーの態度がクライエントにしっかりと伝わっていることが大切であると記されていることに気がつくと思います。
来談者中心療法は「受容」「共感」「自己一致」ばかりが有名になっています。しかし、実は来談者中心療法のカウンセラーは、ただクライエントの話に耳を傾けているだけではありません。クライエントに真正面から向かい合い、情緒的に交流して、あたたかな関係性を築くことができるよう、積極的にクライエントに働きかけます。そうして、クライエントの「自分で元気になる力」が十分に発揮できるようにサポートするのです。
来談者中心療法は「自分流」を大切にします
自分流が大切というロジャースの思想
来談者中心療法では、基本的には「6つの必要十分条件」のみ重要であると教えられ、他の流派のように、クライエントに介入するための技法が体系的に存在しているわけではありません。これは、ロジャースの誰かの真似をするのではなく「自分流が大切」という信念に起因します。
ロジャースには、後進は自分の真似をするのではなく、その人なりのカウンセリングを追求して欲しい、そんな願いがあったようです。
来談者中心療法のカウンセラーは、そのような風土のなか、必要十分条件とはなにか、クライエントの役に立つカウンセリングとは何かを自分なりに考え、探求し続けています。
当然、クライエントとの関係においても、技術に頼らず、試行錯誤を重ねながら関係構築に努めます。
>>来談者中心療法のカウンセリングの実際について、より詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
記事のまとめ
来談者中心療法のカウンセラーは、クライエントが持つ「自分で成長する力」を信じ、その力を最大限発揮できるようにサポートします。
カウンセリングの基盤になるのは「6つの必要十分条件」です。
ロジャース以来、自分流を大切にする風土で育ったカウンセラーは、来談者中心療法の基本的な軸を大切にしつつ、どうすればクライエントの役に立てるか、各々の立場で考え続けています。
>>来談者中心療法以外の心理療法について知りたい方はこちらをご覧ください。
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