080-6969-9451
【心が苦しいのはなぜ?】13の防衛機制と心理カウンセリングについてわかりやすく解説!
- なんでこんなにこころが苦しいんだろう…
- この苦しみとどう付き合っていったら良いのかな…
- カウンセリングでどうやってこころが元気になるのか知りたい!
自分のこころがわからない!
悩んでいて、苦しんでいて、どうしようもなくて。自分のこころがわからないときってありますよね。そんなときに頼るのがカウンセラーだと思います。この記事では、カウンセラーがどのようにこころの苦しみについて理解しているのか、そして、どのようにこころが元気になると考えるのか、「精神分析」の視点から解説します。記事を読むことで、カウンセリングについて、今よりしっかりイメージできるようになります!
-ライター自己紹介-
Writer:K.Suzuki
資格:臨床心理士・公認心理師
キャリア:心理職(教育領域・保健領域)
教員(大学・大学院)
Comment
- この記事は、オンラインカウンセリングを実施しているオフィスのカウンセラーが執筆しています。
- ライターは臨床心理士・公認心理師ダブルライセンスのこころの専門家です。
- オンラインカウンセリングの利用を検討している人に役立つ情報を発信しています!
当オフィスは臨床心理士/公認心理師によるオンラインカウンセリングを実施しています。オフィスの詳細やカウンセリングのご予約はこちらのページをご覧ください。
防衛機制ってなに?
防衛機制はこころのバランスをとる機能
防衛機制は精神分析というカウンセリングの流派の考え方で、こころのバランスをとるための機能です。
精神分析では、私達は頭の中に置いておくと苦しくなる記憶や感情を無意識に仕舞い込むと考えます。例えば、不安や恐怖といった苦痛を伴う記憶や感情です。
無意識に仕舞い込むことで、苦痛を伴うの記憶や感情は頭の中から取り除かれますから、一次的にこころに平穏がもたらされます。
無意識に焼却炉のような機能はありません。仕舞い込まれた記憶や感情は、そのまま無意識に止まり、ときに膨張し、ときに膿み、こころの内側から圧力をかけてきます。そんな無意識の圧力を外へ逃がしれこころのバランスをとろうとする働きが、防衛規制です。
具体的にどのようにバランスをとるかは、後ほど詳しく説明します!
防衛機制は抑える力「抑圧」が基盤
防衛規制は「抑圧」が基盤です。抑圧とは、抑える力です。頭の中に置いておくと苦しくなる記憶や感情を力づくで無意識に仕舞い込むわけですから、それはそれは強い力が必要です。
私たちの抑える力は「我慢」と一緒に育ちます。トイレトレーニングにはじまり、保育園や幼稚園の順番待ち、弟や妹に遠慮してあげたり、学校や会社の集団生活で円滑な人間関係を築くために我慢する。そんな経験と共に、私たちは「抑える力」を育てるのです。
こうして育てた「抑える力」が防衛規制の基盤になります。
実は、切り離すこと「分裂」を使う原始的防衛機制もある
私たちはこころのバランスを保つにあたって「抑圧」だけを使うわけではありません。
切り離す「分裂」というの機能を使うこともあります。分裂を使う防衛機制を「原始的防衛規制」といいます。
これは、頭のなかに置いておくと苦しくなる記憶や感情を切り離し、無いものとしてしまう方法です。
例えば、恋人の嫌なところを見てしまったとき、「うーん、まぁ我慢しようか」と抑えるのが抑圧で、「何も見ていない!」と切り離してしまうのが分裂です。
原始的防衛規制は、我慢を覚える前の幼いこころが使う防衛機制です。幼いといっても、幼児だけが使うというわけではありません。
誰のこころにも、育っている部分と幼い部分はありますから、幼い部分にヒットしてしまう記憶や感情は、大人であっても原始的防衛規制で処理しようとします。
防衛機制も原始的防衛機制も一時凌ぎでしかないことが多い
防衛規制も原始的防衛規制も、多くの場合一時凌ぎにしかなりません。だからこころが苦しくなるのです。
防衛規制は、閉じ込められた記憶や感情が内側からどんどん圧力をかけてくるのに対して一時的にガスを少し抜くような作業です。時間が経つとまたすぐにガスは溜まり、破裂しそうになりますし、そもそも空気が上手に抜けていないときもあります。
原始的防衛規制はもっと単純で、自分のこころのなかで切り離したからといって事実がなくなるわけではありませんから、いつしか無理が生じてしまします。
カウンセリングでは、この「頭のなかに置いておけない記憶や感情」とどう付き合っていくかを考えるのです。
防衛機制はには様々な方法があります
ここでは、9個の防衛規制を紹介します。
全ての基盤となる抑圧
全ての防衛規制の基盤になるのが抑圧です。抑圧は押さえ込むこと。頭の中においておくと苦しくなってしまう記憶や感情を無意識のなかに抑え込みます。
この押さえ込む作業から全てが始まります。
反動形成
反動形成は、無意識のなかに押さえ込まれた記憶や感情が「このままだと表に出れない」と気づき、形を変えて表に出てきている状態です。
例えば「好きな人をいじめてしまう」ようなときです。
様々な理由で「好き」を素直に表現できないとき、こころは「好き」な気持ちを無意識に押し込めます。無意識に閉じ込められた「好き」は、このままだと表に出られないことに気づき、形を変えて表に出ようとします。そうして形を変えた姿が攻撃性、つまり「いじめる」なのです。
否認
否認は、無意識に押し込んだ記憶や感情を存在から否定し、認めない状態です。
例えば、「できない仕事に固執してしまう」ような状態です。
苦手な仕事で思うような成果が上げられないのは当然です。「営業成績」「人間関係の管理」など、苦手なところは人それぞれ。苦手なものは「これはできないな」と認め、ほどほどにこなすか、誰かに頼って助けてもらうことが必要です。
でも、自分に「苦手」があることを認められないと、ずっと苦手な仕事に固執してしまい、無理をし続けることになりますし、時には、から回って周囲との軋轢を産んでしまうこともあります。
逃避
逃避は、頭の中においておけない記憶や感情を無意識に追いやって見ないようにして、心理的にも物理的にも逃げてしまう状態です。
例えば、「仕事に行くのが辛くて会社をサボって遊びにいってしまう」ようなときです。
「仕事」や「社会生活」という現実から目を逸らし、心理的にも物理的にも距離をとります。
辛い現実に直面し続ける必要はないのですが、「何の連絡もしないで仕事を休んでしまう」であったり、「1日2日ではなく、長期間仕事から逃げてしまう」ようなときは、日常生活に支障をきたします。
同一視
同一視は、特に劣等感のような、満たされなさに関連する欲求を無意識に押し込み、欲求を満たしている人と自分を同じようにいみなし、ときには真似をして、仮初の満足を得る状態です。
例えば、「スピーチに苦手意識を持ってる人が、スピーチが得意な先輩や有名人になりきってしまう」ようなときです。
先輩や有名人を「真似る」ことで、自分の能力を向上させられるなら良いのですが、「なりきる」だけで、うまくいっていないことに気がつけず、ずっと続けてしまうようなときは、周囲から痛々しく見られてしまいますし、本人も、永遠と空虚感を無意識に抱え込んだままになってしまいます。
補償
補償は、「〇〇ができない」「〇〇が苦手」といった劣等感や欠乏感を無意識に押し込み、「できること」「得意なこと」に注力して気持ちを満たすことです。
例えば、「勉強が苦手だから得意な運動を頑張る」であったり、「研究や開発が苦手だから得意な営業を頑張る」ようなときです。
一見、「得意」を活かすことで成功しているようですが、劣等感や欠乏感が無意識に留まり続けていると、成功の裏側で、こころの奥深くに空虚感を抱え続けることになってしまいます。
投影
投影は、自分が相手に抱いている「嫌い」や「怒り」のような否定的な感情を無意識に閉じ込めることで頭から取り除き、それらの感情を他人が自分に抱いていると認識してしまう状態です。
例えば、「本当は自分が同僚のことを嫌いなのに、同僚が自分のことを嫌いだと考える」ような状態です。
一般的に、私たちは「みんな仲良く、嫌いなんて言っちゃダメ」と教えられて育ちます。そのため「自分が誰かに否定的な感情を抱いている」のは「ダメなことをしている」わけで苦痛を伴います。
同じ否定的な感情でも、人が自分に向けている場合は多少負担が減るので、「自分→人」を「人→自分」に変換します。相手からすると「そんなことないのに…」という事態が生じているわけで、問題に発展してしまうこともあります。
知性化
知性化は、何らかの出来事が生じて頭のなかに置いておけない強い感情や欲求抱いたとき、感情や欲求を無意識に閉じ込め、知識や理論で無理やり気持ちをおさめることをいいます。
例えば、「社内の企画会議で同僚に競り負けたとき『彼の方が努力してたから』とか『彼の方が上司と仲が良いから』などもっともな理由をつけて納得している」ような状態です。知的な処理で感情に蓋をしているともいえます。
同僚に競り負けた悔しさや、悲しさをちゃんと認識したうえで理由を考察しているのなら良いのですが、感情が伴っていないときは危険です。
「まぁ仕方ないよね」と一見なんなくやり過ごしているように見えますが、無意識に閉じ込められた感情が暴れて、ついつい飲みすぎたり、家族に当たったりしてしまいます。本人も理由に気がつけないことが多いですから、なかなか改善できません。自分も周囲も、みんなが傷ついてしまします。
退行
退行とは、何らかの出来事に遭遇して頭のなかに置いておけない感情や衝動を抱えたとき、感情や衝動を一旦無意識にしまい、子どもの頃に行っていたような気持ちの処理をはじめてしまうことです。
例えば、「恋人に別れを告げられたとき、大声で泣き喚ぶ、物を壊すといった癇癪を起こしてしまう」ような状態です。
「悲しさ」や「寂しさ」をうまく扱えていません。感情を爆発させる衝動的な行為は一見ストレートなようですが、本質的な気持ちに触れることができていませんので、ほとんどの場合、根本的な問題の解決につながりませんし、自分も相手も傷つける結果になってしまいます。
昇華
昇華は、比較的成功した防衛規制と言われています。無意識に仕舞い込まれた欲求や感情を、社会に認められるかたちに変換して表現することです。
例えば、「そのまま表現したら人を傷つけてしまう欲求や情動を絵画など芸術として表現する」ことです。
表現された欲求や情動が作品として評価されれば、大きな満足を得られます。つまり、欲求や情動が充足するということです。
もちろん、本来抱えていた欲求や情動をそのまま満足させることができたわけではありませんから、多少のズレはあります。しかし、ころはとても軽くなります。
原始的防衛機制は分裂を基盤としたこころのバランスをとる働き
原始的防衛規制の基盤になる分裂
分裂は、抑圧を覚える前の幼いこころが自分を守るために使用するメカニズムです。
頭のなかに置いておくと苦しくなってしまう記憶や感情を切り離してどこかに放り投げてしまいます。頭の中から取り除くという点では同じですが、押さえ込むのと切り離すところが大きな違いです。
原始的理想化
原始的理想化は、相手の悪いところを切り離し、良いところしか目に入っていない状態です。
例えば、「恋人や友人、先輩が1ミリの欠点もない完璧な人であるとみなす」ようなとき、原始的理想化が起こっています。
本来、完璧な人などいるはずがありません。「完璧な人」と思い込むことで、相手に過度に依存したり、相手の言いなりになってしまうようなことが生じます。
その結果、相手に不当に搾取されたり、自分の意思で物事を決定できないなど、困った状況に陥ってしまうことがあります。また、欠点を見過ごせなくなると、次に挙げる「価値引き下げ」を起こしてしまうこともあります。
価値引き下げ
価値引き下げは、いまのいままで完璧な人のように扱っていた相手を急にこき下ろし、全く価値のない人のように扱ってしまう状態です。
例えば、「昨日まで大好きだった恋人が、急に無価値に感じてしまい、関係を続けられなくなってしまう」ようなとき、価値引き下げが起こっています。
大切な人になればなるほど、両極に揺れうごく評価しかできず「普通」の評価ができません。そのため、関係を続けるのことが難しく、恋人でも友人でも、長期間一緒にいることができません。
投影性同一視
投影同一視は、自分のなかにある感情を相手のものであるとみなし、さらに相手が実際にその感情を持つように働きかけてしまう状態です。
例えば、「本当は自分が相手のことを嫌いなのに、相手が自分を嫌っているみなし、さらに『そんなに私のことが嫌いならはっきりいいなよ!』などと、相手に詰め寄ってしまう」とき投影性同一視が起こっています。
こころが強い相手なら「なにを言っているんだろう…」と流してくれるでしょう。しかし、こころが脆かったり、弱っている相手だと「そうなのかな…」と気持ちが操作されてしまいます。
躁的防衛
躁的防衛は、不安や焦燥感といった頭のなかに置いておくのが苦痛な感情を切り離し、万能感に支配された世界に浸ってしまう状態です。
例えば、「再就職がうまくいかないとき、先の見えない不安を切り離して自分は何でもできる!という世界に入り浸り、履歴書すら書かないでいる」ようなとき、躁的防衛が起こっています。
危機的な状況で「きっとなんとかなるよ」とこころの底から考えられる屈託のなさは健康さです。しかし、本当は強い不安を感じているのに、不安を切り離してしまっているときは、危険です。
一歩間違えると切り離した不安に直面してしまうため、こころは万能感に満ちているのに実際に行動を起こせなかったり、行動したと思ったら、身の丈に合わない極端なことをしでかしてしまいます。
カウンセリングでこころが元気になるまで
防衛機制を軸に考えるときと原始的防衛機制を軸に考えるときではちょっと違う
防衛規制の視点からカウンセリングを考えたとき「防衛規制」で困っている人が元気になる過程と「原始的防衛規制」で困っている人が元気になる過程は少し違います。
防衛規制は「記憶や感情を無意識に閉じ込めないでいられる」ことを目指します。
一方、原始的防衛規制は「良いと悪いが共存できる」こと目指します。
防衛機制は記憶や感情を無意識に閉じ込めないでいられることを目指す
防衛規制で困っている人は、無意識に閉じ込めた記憶や感情の処理がうまくいなくて困っているのです。
カウンセリングでは「無意識のなかに何を閉じ込めているのか」もしくは「無意識に閉じ込めずにはいられない感情はどのようなものか」をカウンセラーと一緒に探索します。そして、記憶や感情を無意識に閉じ込めないでいられる方法を模索します。
例えば、「嫌い」という気持ちを抑圧しがちな人が「『嫌い』と思うのは自然なこと。誰かを嫌いな自分もいて良いんだ」と思えるように話し合ったりします。
原始的防衛規制は良いと悪いが共存できるようになることを目指す
原始的防衛規制で困っている人は、良いと悪いが共存できないことに困っています。
カウンセリングでは、「良いと悪いが共存できるようになる」ことを目指します。
しかし、原始的防衛規制で困っている人は、自分のこころを見つめて探索するのが苦手という人が多いです。カウンセリングでは、話し合いも大切にしますが、それよりむしろ、カウンセラーと安定した関係を築くことが主題になります。
例えば、カウンセラーと安定した関係を築くことで、カウンセラーに対して「この人は良いところもあるけど悪いところもある。それでも、自分にとって大切な存在だ」と思えると、良いと悪いの共存ができたことになります。
防衛規制を軸にしたカウンセリングが目指すのは「自分でこころのバランスをとれるようになる」こと
この記事では、防衛規制を軸に、カウンセリングでこころが元気になる過程について解説してきました。
防衛規制は抑圧を基盤にしたこころのバランスをとる作業、原始的防衛規制は分裂を基盤にしたこころのバランスをとる作業です。
防衛規制で困っている人は記憶や感情を抑圧しないでいられるようになることを目指します。
原始的防衛規制で困っているひとは「良いと悪い」を一緒に抱えられるようになることを目指します。
カウンセラーは、そんなあなたの過程を支援します。
オンラインカウンセリングを利用したい方へ
当オフィスは臨床心理士/公認心理師によるオンラインカウンセリングを実施しています。オフィスの詳細やカウンセリングのご予約はこちらのページをご覧ください。
コメント